終わってしまう
気付くともう終わってしまう
今年も終わってしまう
早いなあ
あっという間で
どんどんと
一年が
1ヶ月が
一週間が
一日が
短くなっている
気付けば死んでるんじゃないか
突如に話は変わって
11月になって、学祭の季節がやってきた
私が以前、在籍してた大学の学祭にOBとして
同じサークルの友達2人とお邪魔してきた
私が代表となって創ったマジックサークルが
今年も展示のブースを出している
現在代表として動いてくれている4回生の子(以下、Uくん)から
「是非、○○さん(私の名前)の代の皆さんで遊びに来て下さい」
と、1ヶ月ほど前に連絡を貰ったのだ
当初創った時は、私含め4人しかいなかったが
気付けば今年になって14人とだいぶ増えている模様
自分は、当時先輩なんぞ煙たい存在でしか無かったから
先輩がいない、のびのびと楽しめるサークルにしようと思っていた
だから今回、OBとして遊びに行くことを少し引け目に感じていた
だけど
行ってみると
どうだろう
サークル内で完全に崇め奉られていた
今の4回生の代表の子以外は私達の顔を知らない
だから最初、ブースに入った時もお客さんとして案内された
これは良い機会だと、U君にお願いして今の1年生の子達の演技を
全員見せてもらった
その後、サークルのみんながいるバックヤードにお邪魔した
そこでUくんが僕たちを紹介する
静かにザワつくバックヤード
「アッ、あの創始者の、、、」
「アッ、○○さんだったんですね、、、」
「アッ、動画でしか見た事が無かったので、、、」
どうやらUくんが僕達の話を後輩達にたくさん
してくれていたみたいで
私達のイメージは
先輩の先輩 ⇒ 創始者 ⇒ すごい人
⇒ 歴史の偉人 ⇒ 昭和天皇の末裔
最終的に、現人神となっていた
最初はうやうやしい雰囲気に充ちていたのだが
トランプを触り始めた途端
「エッ・・・」
「オオォ・・・・」
「ウワァ・・・」
「い、イッ、生きてるみたいだ・・・」
「エッ、イヤ、だかっ、その、それはどうなッ、エエッ.....」
静かにどよめき、血眼になった野郎が野郎の手元を見つめている
ハタから見たら、間違いなくゲイビデオの類いの何かだろう
まあ、そんなこんなで楽しくみんなにレクチャー会したりして
盛り上がっていた
お客さんそっちのけで、むしろバックヤードがいちばん盛り上がっていた
そうしていると、中年のご夫婦とおばあちゃんの三人がお客さんとしてブースに来られた
演者の人手は足りていたのだが、後輩達から
「もし良かったら、パフォーマンス見してください」
と言われたので、何も決めずにトランプとコインだけ持っていった
最初は何をするか少し迷ったが、流れに身を任せようと最初の演目だけ決めてパフォーマンスしたのだが
いくつかマジックをしたあたりで
真ん中に座っていたおばあちゃんが
お:「いやぁ、お兄ちゃんすごいんやなあ、その手にすごいパワーあるんやねえ」
私:「そうですね、もしかしたらものすごいパワー秘めてるかもしれないです」
お:「そうやねえ、じゃあ私にもそのパワーわけて貰おうかな」
おばあちゃんは私の手を両手で握手するように
やさしく触れてくる
私も両手でやさしく握手する
中年のご夫婦も優しい顔でそれを見ていた
どこか時間が止まったような
やわらかい雰囲気があたりを包んだ
そんな感覚になった
全てのマジックが終わって
最後にもう一回
やさしい握手をした
私のつたない魔法で
後輩たちや初めて会った人達の
やさしいような
たのしいような
笑顔をつくれるから
少しだけど
マジックやってて
良かったと思えた
あの日は
いい日
いい日だった
またそんな
いい日に出会えたら
いいな