アフタースクールのバケモノ
近頃寒い。
とにかく寒い。
この季節、人と会って第一声話しかける話題は
冷え込みを極めに極めているこの温度に関してだと思う
そんな寒さの盛り、心暖まる出来事があった。
私が勤めている学校では、授業が終わった後に生徒を預かるサービス
その名も「アフタースクール」なるものを実施している。
アフタースクールは時間制の有料サービスなのだが
別に特別な事はしない
そのサービスを利用する生徒は、アフタースクールの先生と
その日の宿題をしたり、残っている子供達同士で遊ぶだけの時間なのだ
かくいう私も事務として、本サービスのチケットの販売くらいが関わっている
関の山で、仕事の内の小さなひとつに過ぎなかった。
ある日、私はアフタースクールをしている教室に用があった。
向かうと教室のドアの前と廊下に、低学年の女の子3人がしゃがんでいた。
寄って見てみると、アフタースクールで画用紙に描いた絵をドアや壁に貼っている。
「せんせー、ねー見て見て-!」
「んー 何描いたんや~」
絵を見ると象さんやらキリンさんやら動物の頭を持った5人が描かれていた
そう、5「人」
動物の頭をつけた人間が5人描かれていた
「これねー アフタースクールのねマスコット描いたの!」
なんとかわいい事をするのだろうこの生命体は
見た目は正直、バケモノ5人の絵だが
している事がかわいらしい
あくまで仕事の末端としか感じていなかったから
余計にそう感じたのかもしれない
「マジで!? めっちゃええやん。」
「これ5人はどういう役割の5人なん?」
興味が湧く私
「ううん、特にないの^^」
素晴らしい
感情の赴くまま、ペンを走らせたのか
小さな体の芸術家がそこにいた
しかも3人
「でもあれやで、この教室は授業で使う教室でもあるから
ちゃんと教頭先生に貼っても良いか聞くんやで~」
「わかた!」
かわいい。
実にかわいらしい。
ほどなくして保護者が子供を迎えに来た
さよなら、気を付けて帰るんやで
ほっこりとしていたら、良いタイミングで教頭先生がやってきた
「あ、もう帰った?」
「はい、もうみんな帰りました」
「あ、先生見て下さいよ、ちびっ子達アフタースクールのマスコット描いてますよ笑」
「あ、ほんまやなあ めちゃめちゃ動物やなw」
先生は笑いながら容赦なくバリバリと絵を剥がし始める。
「でも授業で使うからこれは貼られへんなあ笑 ハハハ」
「エッ、イヤ、アッ、センセェ・・・」
アフタースクールのバケモノは子供達が作る前から居たようだ